パーシボンヌ部

読書感想とか映画の感想とか

君が僕らを悪魔と呼んだ頃

君が僕らを悪魔と呼んだ頃

難しいテーマだとは思う。

「犯罪者を許せるか。許容できるか。」がテーマなのかな。

犯罪者にも大事な人がいて、その人にとっても大事な人であるみたいな、そんなメッセージな感じかな。

ただ、主人公は記憶喪失から目覚めた時に文字通り生まれ変わったように別人格になってしまってる。そこがキモ。

目覚めてからの主人公は悪からは程遠い普通の男の子になっている。決して犯罪など起こせないようなそんな人物に。

だからこそ読み手は主人公を許してしまいそうな空気感になる。

でも現実は違う。別人格にはならないし、心から償ったとしてもそれは他の誰にもわからない。再犯率は約半数。自分が住む場所の近くに元犯罪者が住み始めたら心穏やかではいられない。例えば小児性犯罪者が近くに住み始めたとわかり、誰か一人でも石を投げはじめたら自分は絶対に石を投げないとは言えない。

葉桜の季節に君を想うということ

葉桜の季節に君を想うということ

歌野晶午

胸糞と叙述の違いを知らないサイトに翻弄されてしまってこんな惨状。でも頑張って読む。

これは普通の叙述みたいな実は~だったがわざわざそうしなくてもと思うような、で?ってくらいの効果かな。

違和感は所々にちりばめられているのはわかる。

真面目そうな高校生がスキンヘッドだったり、金持ちそうな感じなのに職業ガードマンだったりね。

それからヤクザ入門パートでめちゃくちゃ気になったのは、偏見だけどヤクザはコンドーム使わないだろって思った。だから逆にコンドーム使うなら男じゃないのって思ってしまったのはきっと心が汚れているからなんだろう。

向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏

道尾秀介

なにこれ。

叙述系嫌いなのよ。胸糞後味おすすめされてたから読んでみたのに。

初めて叙述を読んだのは貫井徳郎の慟哭だった。

当然叙述と知らずに胸糞小説と信じて。

悲しかった。そうじゃないと思った。

そんな騙そう騙そうとしなくても後のほうの話だけでいいのになんで叙述にしてしまったんだろうと。その騙そうとひねってしまっているのがわかるともうそれで冷めてしまう。

叙述は嫌い。

実は女だったとか

実は刑事じゃないとか

実は人間じゃないとか

実は一人だったとか

実は双子だったとか

拒否反応がすごい。

摂氏零度の少女

摂氏零度の少女

新藤冬樹

胸糞後味悪い小説おすすめにあったので読んでみたけど、・・・うーん・・・。

涼子の世界観が胸糞なのか、毒を盛るのが胸糞なのか、頭をひねってしまった。

なぜ殺すのかの「なぜ」は涼子の世界観としか言いようがなく、そりゃないだろと言ってしまえば物語は始まらない。

父親の「涼子、許してくれ・・・・・。許してくれ・・・・。」で何かを思う所で、もしや近親物でそれが胸糞なのかとビクビクしたけど全然そんなこともなく。

胸糞物という先入観がなかったら違う読後感だったんじゃないかと思う。

主よ、永遠の休息を

主よ、永遠の休息を

誉田哲也

重い。ひたすら重い。

やるせない。

有名事件を元にしているのでトラウマがどういうことなのか早くからわかるわけだけど、謎が残ってて謎がわかってももうやるせなくてどうしようもなくてただただ悲しかった。伏線的なものはあるけど誰でも多少なりともずるい所とか嫌な所があっての人間であって、特別なことじゃない。

内側の部分は記事にしないで欲しいかなと思う。

疾走 上下

疾走 上下

重松清

ネタバレなしの感想を読んでいたはずなのに、語り手が誰なのか普通に書いてあってがっかりした。語り手は自分でなるほどそういうことかと気付きたかった。

上はゆっくりめに読んでいたはずなのにどんどん加速がついて下は一日で読み終えてしまった。正に疾走。

つらくて悲しくて苦しくて絶望しかなくて、その絶望の中にある光がエリだったのかな。

毒親に育てられて理想の両親をあの二人に重ねていたと捉えたらいいんだろうと思う。どんなに頑張っても見向きもしない両親を諦める強さがあった気がする。その強さが悪い感じに働いてしまった結果なのかもしれない。

後味悪い胸糞小説大好きだけど、みんな幸せになって欲しかった。

アリス殺し

アリス殺し

小林泰三

シリーズ物と知らずに読み始めたけど、これが一作目のようで一安心。

登場人物が多いと覚えきれずに誰がどんな人物なのか整理できないまま流し読みみたいになってしまうことがあるけど、これくらいなら大丈夫な範疇だった。

SFでホラーでファンタジーで推理な色んな要素がつまってる。

アーヴァタールが鍵だということなので注意して読んでいたけど、あまりそればかり考えていると物語を純粋に楽しめないので途中からは気にせず読んでみた。

スナークとか全然わからなかったので、鏡の国のアリスも読んでみようと思った。

推理小説での殺人事件の動機って基本的に金関係だと思っているので、注意していればわかったのかなー知らんけどといった感じ。

地球では真剣でも不思議の国の無責任でのんびりな人達のイライラ感が中々によかった。

面白かったのでシリーズ通して読もうと思う。